屋根修理を検討される方から、山田工芸でも次のような質問をよく頂戴します。
「瓦ってヒビ割れがあったらすぐ雨漏りしますか?」
「屋根が錆びてればすぐに雨漏りするの?」
といったように、屋根材の劣化・破損=即雨漏りするのか?といった内容です。
結論から先に申し上げますと、防水シート(ルーフィング)が破損・劣化していないのであれば、すぐに雨漏りは起こりません。
実際、台風などの強風で瓦が数枚飛ばされたり、カラーベストが飛来した外的要因で破損した場合でも、防水シートが破れていなければその下まで水は侵入しません。
という事は、建物内部まで水が入り込む事は無いですし、当然雨漏りも起こりません。
つまり、建物を守る要因として、瓦やカラーベスト等の屋根材で直接の雨水から建物を守り(一次防水)、隙間から入り込んだ雨水は防水シートで守っている(二次防水)のです。
そのため、屋根材の劣化・破損=即雨漏り、ではないのです。
一般的に、屋根は屋根材のみで守られていると思われがちですが、強烈な雨や横殴りの雨の際は、雨水は簡単に屋根材の隙間から内部へと侵入します。
その雨水を防いでくれるのが防水シートで、防水シートが無ければ簡単に屋根の下地である野地板まで雨水は入り込んでしまうのです。
現在、住宅用の屋根材は非常に多くの種類がありますが、防水シートを必要としない屋根材というのは存在しません。
つまり、雨漏りは屋根材と防水シートのセットで防がれていると言えますね。
防水シートには大きく分けて2種類が存在します。
それは「透湿系」と「非透湿系」です。
「透湿系」は、その名前が示す通り、湿気を通すという特性を持ちます。
水は通さず湿気のみを通すので、建物内部に湿気が溜まりにくいという優れた性能ですが、その分価格は少し高くなります。
高価なので性能の割にあまり普及しておらず、使用率は全体の5%程度に留まります。
価格相場:500~円/㎡
「非透湿系」は、水も湿気も徹底的に防いで通さないという性質の防水シートです。
非常に多くの種類が販売されており、値段も様々です。
使用率は95%と非常に高く、現在の住宅に使用される防水シートのほとんどがこの「非透湿系」と言えます。
価格相場:200~円/㎡(低価格) / 400~円/㎡(高性能)
ここまで、防水シートについてご説明しましたが、皆様はこのような疑問を持ちませんでしたか?
「新築の際、他の建材は色々選んだけど、防水シートは選んだ覚えが無いんだけど…?」
新築時にお住まいを構成する様々な建材をどれにするか検討されたと思いますし、屋根材も数ある中からお選びいただいたと思います。
しかし現状では、防水シートをどれにするかという選択肢を施主側に預けられる事はほとんどありません。
というのも、新築から10年間は雨漏りに対して保証がついているので、防水シートの選択は業者側に任せてくださいという暗黙のルールが建築業界にはあるのです。
そして、業者側は性能よりコストを重視する傾向があるので、性能に優れる防水シートよりコストパフォーマンスが良い防水シートを選びます。
「10年の保証があるなら、どれでも良いんじゃない?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
たしかに保証は10年ついていますが、10年経過後の雨漏りは当然施主側に工事費用を支払う義務が発生してしまいます。
防水シートは、耐久性、防水性などの性能が種類によって異なる上、上述のようにお住まいを雨漏りから守る重要な箇所です。
長い目で見た時のお住まいに対してのメンテナンス費用などを考慮しても、防水シートは施主側でも検討するようにしていただきたい大切な箇所なのです。